音楽スタジオの起業日記

川崎市の音楽スタジオ(武蔵小杉駅近)『スタジオアイシャ』
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閉店の判断について

ホームページでもアナウンスさせていただいた通り、閉店させていただくこととなりました。

閉店の時期は2025年の3月下旬から5月上旬ごろを目安に調整しています。閉店日については、追ってアナウンスさせていただきます。

閉店によりご迷惑をおかけすることについては、本当に申し訳なく思っております。別の練習場所やレッスンの場所を確保する必要がある方もいるかと思い、閉店日は決まっていない段階ですが、まずは閉店の予定であることをアナウンスさせていただきました。

閉店の理由は一つではなく、多くの要素がからんでいて端的に説明するのが難しい、というのが正直なところです。

経営が赤字続きで、営業を継続できないという理由からではありません。
しかし現状維持ではなく、事業を発展・成長させていく道筋を見い出すことが出来なかった、ということも背景の一つではあります。

長くなってしまいますが、以下に閉店の判断にいたる経緯について話をさせていただきます。オープンに出来ないことも多々あるので抽象的な内容になってしまいますが、興味のある方は読み進んでいただければと思います。





時系列の方が伝わりやすいかと思い、話はコロナの前まで戻ります。

コロナ前まで、閉店は頭の片隅にもありませんでした。経営は予想以上に好調で、直営の2号店を実現すべく、準備を進めていました。資金調達と物件探しを具体的にはじめようかというところで、コロナが来ました。

その当時は未知のウイルスに対しておびえる日々でした。とにもかくにも自分自身とスタッフの健康を最優し、直営2号店の計画は一時的に停止しました。

しかし直営2号店をあきらめたわけではなく、厳しい状況を乗り切って計画を再開させたいと考えていました。そして、その時の状況に合わせて出来ることを進めていくうち、今までとは違う経験をする中で、考えが変わっていくことに自分自身で驚いていました。またここでは書けないプライベートな事情も含め、環境に様々な変化が出てきました。

予想以上にコロナの影響が長引いていく中、直営2号店に関する計画を白紙に戻す決断をしました。コロナ前に立てた計画とは状況が大きく変わってしまったためです。そして今後の事業をどうしていくのか、検討し直すことにしました。

まず事業の前に、自分自身について見直すことからはじめました。コロナの影響下で起きた自分の考えや環境の変化を踏まえ、今後の人生をどう生きていきたいのか、自分の頭の中を整理しました。それをベースに、スタジオアイシャの事業をどうしていきたいのかを検討していきました。いろいろ調べたり、考えたりするうちに、音楽スタジオ以外の事業に興味が出てきて、そのおもいが強くなっていきました。そして別の事業にトライするために、スタジオアイシャは閉店しようと考えるようになってきました。

一方、閉店すればお客様やスタッフ、関係者のみなさんにご迷惑をおかけすることになってしまいます。いろいろ迷った結果、勝手ではありますが、自分のおもいを優先させていただきたいという結論に至りました。どうか、お許しください。

長くなってしまいましたがコロナ以降、ここに書けないことも含めていろいろありました。いろいろ悩み、検討をした結果、スタジオアイシャを閉店することにさせていただきました。この決断が正しいかどうかは分かりません。しかし少なくとも、今の自分が納得できる決断にたどり着くことが出来ました。

閉店までまだ少し時間があります。その時まで、どうぞよろしくお願いいたします。



■アコースティック音楽スタジオ『studio Aisya (スタジオアイシャ)』
s-aisya.com

【閉店】組立式防音室「ヤマハ アビテックス」の売却

閉店するとなると、現状回復をはじめ、いろいろお金がかかるのが痛いです。このダメージを和らげるためにも、今ある設備を可能な限り売却したいところです。

今回のトピックは、組立式防音室の売却についてです。
組立式防音室は、防音室としては設置や移設、売却などが容易で、柔軟に運用出来るのが強みの一つです。
ただ売却する場合、ピアノなど一般的な資産と比較すると需要が限られており、扱う事業者も少ないため、なかなか難しいことが多いです。

以下では、オープン時から撤退することも見据えて組立式防音室を導入した経緯から、閉店時に売却先を探し、結果的に委託販売という選択をするまでを書かせていただきます。

スタジオアイシャでは、2010年のオープン時に「アコースティック楽器の個人練習に最適化した音楽スタジオ」というコンセプトのもと、市販の組立式防音室を導入しました。一定の品質を確保しつつ、費用を抑え、撤退時に売却できる利点を考慮したためです。
そして組立式防音室の中でも、ヤマハのアビテックスを採用しました。信頼性が高く、リセールバリューも期待できるためです。

基本的にはアビテックスをそのまま使うのですが、床のカーペットを取り外し、代わりにクッションフロアーを床に固定することにしました。土足利用の利便性とメンテナンスの容易さを考慮したためです。この時は、防音の機能が低下する訳ではないので、リセールバリューへの影響は少ないと考えていました。

そして閉店に伴い、買取先を探しはじめ、大手の3社に声をかけさせていただきました。1社は店舗で使用していたため買取不可、1社は床が理由で買取不可、最後の1社は買取可能でしたが、査定額はほぼ0円でした。

後者の2社は、床にクッションフロアーをはりつけていることに、難色を示しているようでした。もし私が中古の組立式防音室を買うとしたら、どうせカーペットを敷くのだから、その下の床はクッションフロアーであっても気にしないと思うのです。しかし、事業社の観点からはそうではないようでした。

さらに何社かに声をかけると、ある程度の金額で買取可能な事業者も出てきました。事業者によって、買取に対するスタンスがだいぶ違うことが分かってきました。

メルカリなどで売却する方法も頭に浮かびましたが、閉店に向けてバタバタしている中、そこまで手が回りそうにありませんでした。単に売るだけでなく、防音室の移設なども対応しなければなりません。

さらに調べていくと、委託販売というスキームがあることを知りました。もし売れれば売却額が通常の買取より高くなりますし、売れなくても委託販売よりは安くはなりますが、事業者が買取してくれます。販売から移設まで対応してもらえるので、手間もかかりません。まだ閉店まで時間があることもあり、売れる期待が持てそうです。いろいろ検討した結果、委託販売をお願いすることにしました。

委託販売をお願いしたのは「株式会社東京サウンドボックス」さん。組立式防音室の販売や移設を事業の中心としていて、2022年に創業した会社とのこと。こういう会社が出てきたのは、なんだかうれしいです。

東京サウンドボックスさんのHPで、スタジオアイシャの防音室を販売しているページは次のリンク先です。
もし、スタジオアイシャで使用いている防音室の購入に興味がある方は、東京サウンドボックスさんに問い合わせをしてみて下さい。

■0.8畳 Dr35

■1.2畳 Dr35

■1.5畳 Dr35

■2.0畳 Dr35

■2.5畳 Dr35

■2.5畳 Dr40

■株式会社東京サウンドボックスさんのHP

余談ですが、東京サウンドボックスの代表の佐藤 文哉さんは元ドラマーとのこと。何だか名前をお見かけした記憶があったので調べてみたところ、好きなミュージシャンのバックでドラムをたたいている動画を何度か見ていました。なんだか、不思議なつながりも感じたりしていました。


■studio Aisya (スタジオアイシャ)
s-aisya.com